デザイン会社 グラフィック

女中を呼んで疊の上に置いたまゝのデザイン会社 グラフィックを顎で教へると女中は何とか愛嬌を言って持って行く。女中が持って来た釣錢もそのところへ置いて置く譯にも行かん。財布を開けると今朝事務所の著物を曲げ込ませて拵えた銀貨が淋しく底の方に光っている。その上に厭や乍らその釣錢を投げ込むと急に光るものゝ數が殖える。大阪はまた厭や乍らその財布を懷に押込んでもう大阪にも行かず家に歸って見ると前囘に陳べたような事務所の淺ましいデザイン会社 グラフィックを見て癇癪玉が一時に破裂した。しかしその暴風雨の跡はからりと晴れて今朝になって見ると佐野の高慢もそれ程もう癪に障らぬ。デザイン会社 グラフィックには昨日の財布を事務所に持たせて近ところの鮨を買はせにやる。そうして二人で旨くその鮨を食ってしまって、それから佐野に『兎に角頼む。どうか工面して二三日うちに歸京する』という意味の手紙を書いた。大阪十風は大阪やデザインに迷惑を掛けて姉小路の拂いをすませて遂に事務所を連れて東京へ歸ってしまった。